不安や恐怖を克服させてあげるには? | 胴長屋犬健

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胴長屋犬健の島田です。

先日、散歩中の引っ張りと、吠え癖にお悩みの飼い主さんのしつけ相談をしてきました。

1歳半になるヨークシャーテリアの男の子でしたが、ピンポン吠えもするし、来客(私)にも吠えるし、良く吠える子でした。

様子を見ていると、知らない人(私)がいることもありますが、ちょっとしたことにビクビクしているように見えます。

お話しをうかがうと、確かにビビりで、知らない人は苦手で、特に大きな音には怖がるそうでした。

その後、引っ張る様子を拝見させていただくために外に出てみると、やはり回りを気にしてビクビクしながら歩いているようです。

徐々に足早になり、逃げようとするかのように引っ張り続けています。

散歩自体が嬉しくて興奮して引っ張り続ける子もいますが、この子の場合は「不安」だから引っ張っているようです。

犬が吠える原因も、多くは「不安」によるものです。

この子の場合は、吠えるのも引っ張るのも「僕、不安だよー!」という訴えでしょう。

にも関わらず、叱られてしまったりするわけですから、この子にとってみたら踏んだり蹴ったりで可哀想です。

お話しによると、生後2ヶ月で家族として迎えて、その後生後4ヶ月までは外に出ず、家族以外との接触も動物病院で数回だけだったそうなので、一番大切な社会化期(生後3ヶ月頃まで)に色々な刺激に慣らさなかったことが原因で、色々な物に不安を感じるようになったようです。

それも含めて「不安にさせているのは飼い主さんのせい」と言えるので、多少吠えたり、引っ張ったりするくらいは許してあげて欲しいと思います。

ただ、不安を感じたからといって、その都度吠えられたらうるさくて仕方ありませんから、飼い主さんの責任として、「不安を感じにくくなるようにする」、「不安を感じたときの行動(吠える以外)を教える」ということを、地道に続けていって欲しいところです。

詳細な方法については、胴長屋犬健までご連絡いただいて、直接お会いしてお話ししたいと思います(笑)が、不安や恐怖を克服するヒントはお伝えできるかと思います。

不安や恐怖、喜びなどの快不快といった感情を司る機能は、脳の「扁桃体(へんとうたい)」という部分が担っています。

また、脳には「海馬(かいば)」というタツノオトシゴのような形をした部分があり、外からの刺激を受け取ったら、その刺激と記憶とを照合しています。

海馬と扁桃体はすぐ近くにあり、相互に影響し合っているため、刺激と恐怖などの強い感情は結びついて記憶されやすいため、克服するのがやっかいなのです。

しかし、扁桃体は、先述した社会化期には未成熟なため、不安や恐怖を感じにくかったり、多少は感じても好奇心の方が上回ることですぐに克服できたりします。

見慣れない物に不安を感じ、最初はビクビクしていても、次第に好奇心に勝てずに近づいてみたら、何でも無かったので、その物に対する不安は抑制されるようになる(慣れる)・・・ということが、社会化期には容易に起こりえます。

社会化期を過ぎたからといって、慣らせないというわけではありません。

今は苦手な刺激(人、犬、場所、音など)に対して、扁桃体が不安を感じるように働き、その結果吠えているとしても、ある刺激と不安とが結びついて記憶されているなら、まずはその記憶を上書きするようなトレーニングをして、「ある刺激=不安(不快)」という状態から「ある刺激=喜び(快)」、あるいは「ある刺激=気にならない」状態にしてあげれば良いのです。

また、大脳には「前頭前野(前頭葉)」という部分があり、ここが感情や行動の抑制を司っていますので、前頭前野を鍛え、前頭前野が不安を抑制したり、吠えるという行動を抑制するように、トレーニングしていくことでも克服しやすくなります。

人間の場合は、脳トレや運動、やり慣れないことなどをやったりすることで鍛えられるようですので、犬でも同様に、お座りや伏せなどの練習をしたり、運動をさせたり、知育玩具を使ったり、宝探し(オヤツ探し)ゲームをしたり、バランスボールに乗れるようになるなどやり慣れないことをすることで鍛えられるでしょう。

ただ、そうやって慣らしたり、鍛えたりするにも時間がかかりますし、個体差もありますので、長い目で見てトレーニングをしていく必要があります。

特に、親兄弟から早く離しすぎた子は、社会化期であっても不安や恐怖を感じやすい場合も多いようなので、地道に続けていく必要があるでしょう。

いずれにしても、あっという間に克服させると言うことは難しいのです。

しかし、克服させるのは難しくても、ちょっとした工夫で不安を感じにくくさせてあげることはできます。

吠え癖にしても、破壊癖にしても、何にしても、ホントにちょっとしたことで改善できることもあるのですが、なぜかアドバイスを無視する飼い主さんもいらっしゃいます。

たぶん、困ってると言いながらも本当は困ってないのかなと思いますが(笑)、本当にお困りの場合は、胴長屋犬健まで気軽にご連絡くださいね