2015/03/01
胴長屋犬健の島田です。
これまでは、欲求を満たしてあげることに焦点を当て、欲求不満の原因が何かを特定して、原因を取り除くことで改善していく必要性のお話しをしました。
しかし、必ずしも原因が取り除けるかと言えば、そうではありません。
例えば、動物病院が苦手なワンちゃんであれば、怖くて、そこから逃げたいという欲求(安全欲求)が強いでしょうが、だからといって診てもらわないと困るので、早々に立ち去って原因を取り除く、というわけにもいきません。
そのまま欲求不満が続けばストレスにつながりますが、この場合は治療が終われば解放されるので、ストレスで病気になるほどではありませんが、例えば、雷に対してパニックになるくらいの恐怖心があるとすれば、雷が落ちただけで吐いたり下痢をすることもあります。
特に、音に対して恐がるワンちゃんは多いですが、遺伝的な場合もあるものの、その多くは、過去、予期せぬ不快な刺激に恐怖を感じた体験によるものです。
ではどうしたら良いかというと、一番は、社会化期(生後1~3ヶ月頃)に、ワンちゃんが生涯で出会うであろう色々な刺激に対して慣らす社会化トレーニングを行うことです。
社会化期以降、一度慣れたはずの刺激に対して、また恐怖を感じるようになる場合もあるので、その後も継続してトレーニングしていくことも必要です。
病院の例では、動物病院や獣医さんを好きになってもらい、楽しいと思うようになってくれればベストですし、少なくとも怖がらない程度には慣れてくれた方が助かりますね。
成犬になってからだと、恐怖のレベルによっては慣れるまでに時間がかかりますが、それでも根気よく時間をかけて慣らしていけば、克服できる場合もあります。
また、いつも飼い主さんとべったり過ごしていると、一人きりになると寂しくなって、その不安からずっと吠え続けたり、部屋中で粗相することもある「分離不安」になることがあります。
人間の幼児の場合にも、分離不安(親が自分を置いてどこかへ行ってしまうのではないかという不安)はありますが、大抵は、健全な愛情をもって接していれば、ちゃんと親は帰ってくることを覚えて、2歳頃までになくなっていきます。
ワンちゃんの場合は、この「ちゃんと親(飼い主)は帰ってくる」ということをきちんと教えないと(勝手に憶えてくれる子もいますが)、一人になることに慣れることができず、一生涯、分離不安でストレスをため込むことになる可能性もあるので、しっかり教えてあげる必要があります。
特に飼い主さんとべったり過ごしているワンちゃんの場合は、子犬の頃に「ちゃんと親(飼い主)は帰ってくる」ということを教わらずに来た子も多いので、分離不安になりやすいわけです。
ですので、まず「ちゃんと親(飼い主)は帰ってくる」ということを教えることと、一人でいることに慣らしていくことを平行して行い、分離不安を解消していく必要があります。
つまり、「慣れる」ということは「大丈夫だと学習する」ということです。
特に危険や恐怖を回避し、安定・安全な状態を求める「安全欲求」に対しては、「大丈夫だと学習する」(慣れる)ことが重要になってきますので、子犬の社会化期に色々な刺激に対して慣らす社会化トレーニングが必要になってくるわけです。
胴長屋犬健の「パピーレッスンコース」では、社会化トレーニングの重要性についてや、どんな方法で慣らして行けば良いのかなどについてもご説明していますので、パピーを飼われている飼い主の皆さん、ご興味があれば、ぜひご連絡ください!
もちろん、成犬の恐怖心克服のお手伝いもさせていただきますので、ご相談ください!